性別≠不一致

「俺を誰だと思っとんのや。今注目の若手小説家だぞ? 性同一性障害なんかでいちいち引いてたらこの業界なんて務まらん!」


それに、とゴウさんは続ける。


「マミのおかげで色々免疫ついとるから大丈夫や」


マミさんがどう関係しているのかはわからなかったが、ゴウさんが俺に気を使ってそう言ってくれているのはわかった。


本当は凄く驚いているはずだ。いきなりこんなこと話されて、冷静でいられる方が難しい。


こうして秘密を話している俺もかなりテンパってるんだから、ゴウさんも内心慌てふためいているはずだ。


でもゴウさんからは好奇の視線は感じなくて、そういったマイナスのイメージを持っていないことだけはなんとなくだけど伝わってきた。


「でもまさか千秋が女やったとは。言われてみればそない見えるけど、気付かないもんやなぁ」


「そう言ってもらえると嬉しいです」


「でも夏場は? 薄着だと胸でバレるやろ」


「胸ないんで問題ないです。スポブラ付けたら全然バレないし」
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