性別≠不一致

「それは……良かったんか?」


女としては残念なことなのだろうけど、俺としては本当に良かったことだ。


胸で性別がバレる心配がないし、そもそも胸なんかあったら俺が女であると主張しているみたいで居た堪れない。


「あーでも、生理はくるんでそれが困りますね。ナプキンだと処理に困るしかさばるから、タンポンを使ったり面倒なことばかりですよ」


「……そうなん?」


「そうですよ。女の身体で良いことなんて一つもないし、本当に男が羨ましいです。生理なんてないし、出産という生き地獄を味わう必要もないし、なんで女ばっかり苦しまなきゃいけないんですかね」


「いや、男も男でエライ大変やぞ? 朝起きたらパンツベトベトになってたり、興奮してへんのに授業中ムスコがこんにちわしたりとな……」


「俺からしたら羨ましい限りです」


溜息を一つ。


ゴウさんに愚痴ったところでどうしようないのに、なに先走ってんだろ俺。


俺がどんなに望んだところで、男の身体が手に入るわけじゃない。男になれるわけがない。
< 114 / 281 >

この作品をシェア

pagetop