性別≠不一致
そのことを伝えてみたら、ゴウさんは愉快そうにニヤニヤと下種な笑みを浮かべていた。
絶対面白がってる。この外道めがっ。
「もうそれぞっこんやん。何を迷う必要があるん?」
「迷うってそりゃ、千秋は男だし。どう足掻いたって結果なんて見えてるし、やっぱ世間の目とか気になるっていうか……」
「バッキャロー!」
ガツンッ! と後頭部に衝撃が走る。
鈍器で殴られたような痛みが全身に迸り、突然の奇襲に俺は椅子から転げ落ちて、再び頭を床に強く打ちつけた。
ダブルの痛みに悶える俺。痛みで生理的な涙が出てくる。
なに? なんなの? 天罰的なサムシング?
多少テンパるが、よくよく考えたらこんなことをする輩は一人しかいない。つうか絶対あの人だ。
案の定、俺の視線の先には出汁巻き卵専用の長方形フライパンを手にしたマミさんが、鬼の形相で佇んでいた。