性別≠不一致
「な、なんで今ここで言わなきゃいけねえんだよ……」
「ほら言えないじゃない。こんだけ煽られてんのにビビって何も出来ないとか、真性のビビりじゃない。どんな気持ち? こんだけボロクソ言われてどんな気持ち? ねえどんな気持ち?」
「こんの……言やぁいいんだろ言えばよぉ! 嗚呼、好きさ。俺は千秋のことが大好きだぁあああ!」
カランコロンと入口のベルが鳴る。
こんだけ大騒ぎなのにスヤスヤと眠りについていたスピカが跳びあがり、店に入ってきた客人の傍まで急いで駆け寄った。
静観していたゴウさんが「あちゃー」と額に手を当てる。
マミさんはしてやったりというドヤ顔で、俺はというと顔面蒼白で今にも倒れそうだった。
いや、既に心臓が止まっていたと思う。
ほんの一瞬だろうけど、あの瞬間俺は確実に心臓が止まっていた。一瞬だけど死んでいた。
だってだってだってだってだって! こんな展開予想だにしてるわけないって!
「千秋……?」