性別≠不一致
性別を偽っている以上、選択を間違えば俺達の関係なんてすぐさま崩れ去るほど脆い物なのだ。
俺達の絆なんて―――
「大丈夫ですよ。竜司くんはああ見えて器が大きな男ですから。秘密の一つや二つ、寛大に受け止めてくれます」
―――もしかしたらマスターは、全てを見抜いていたのかも知れない。
恋の悩みとは言ったけれど、俺に秘密があって、そのせいで一歩踏み出せないとは一言も口にはしていない。
サービス業っておっかないな。いや、年の功というやつか。
気付くと足元にスピカが来ていて、俺の足元に顔を擦り寄せていた。
お前も励ましてくれてるのか?
それとも、お前も気付いてたのか?
多分後者かな。スピカは賢いし、野生の直感で感づいていたのかも。
「でも俺は……」