性別≠不一致
でもせめて格好良く退場したい。
『俺全く後悔してねえから。本気でお前のこと愛してたから』
的なオーラを醸し出しながら退場したい。ちょっとした映画のワンシーンみたいな感じで、この物語に幕を下ろしたい。
苦し紛れの笑みを浮かべて立ち上がる。
さーて、後はこのまま退場という名の逃走を図るだけだ。
そそくさと立ち去ろうとしたが、思いもしない出来事が俺に身に起こったのだ……!
「待って!」
俺の手首を掴む千秋。
なにこれ萌える。なんかこの展開すげぇ良い!
などとほんの一瞬だけ思ったが、すぐに現実へ引き戻された。
今の状況はそんな甘いもんじゃないのだ。マジでヤバイ五秒前なのだ。
嫌な妄想が頭の中を駆け巡る。