性別≠不一致
人知れず自身の悩みと戦ってきたのだ。そんな強い人間を責めるなんて、俺には出来ない。出来るわけがない。
こうやってカミングアウトするにも、かなりの勇気と覚悟があったはずだ。
男を好きになった悩みなんて、千秋の悩みなんかに比べたら―――
……ん、あれ?
ちょっと待って神様。シリアスな場面だけど、ちょっと思考の海に飛び込んでいただきます。
俺の悩みなんて、悩みじゃないやん!
心は男かもしれないけど、生物(性別)学上は女なんだろ?
だったら俺が千秋を好きになるのは普通じゃないか! 至って普通! 普通な男女の恋!
そりゃそうだ。だって俺はノーマルな性癖の持ち主だ。
いくら魅力的な人だからって、男を好きになるわけがない。
俺の雄としての本能が、千秋は雌だということを嗅ぎ取ったのだろう。
いやーははっ。なんだなんだ、俺の悩みはズバッと解決ジャマイカ。なんちって。