性別≠不一致

『スピカ』に入った途端、マミさんにお玉で頭をぶん殴られた。


頭部を押さえて蹲る俺に、冷淡な笑みを送りながら「リア充はこの世から消え去ればいいのよ」と暴言を浴びせてさらにもう一発お玉で殴ってきやがった。


いつもならここで言い返したりするのだが、今日の俺は物凄く機嫌が良いのだ。


なんでマミさんが俺達の恋愛事情を知っているのかとか、なんで理不尽な暴力を受けなければいけないのかとか、問いただしたいことは山ほどあるけど今日はもうどうだっていいのだ。


だって今日から俺は、リア充なのだから!


マミさんの毒舌も、負け犬の遠吠えにしか聞こえないのだから!


「気持ち悪い。心の底から気持ちが悪い。リア充爆発しろ」


「はっはっはっ! 僻みにしか聞こえませんよマミさん」


「あんたのこれまでの恋愛遍歴を包み隠さずちーちゃん暴露してやろうか、あぁ?」


「ごめんなさい許して下さいお願いします」


ダメだ。リア充になった程度じゃこの人には敵わない。

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