性別≠不一致
ハンバーグ

「竜司くんって一人暮らしだっけ?」


俺達が恋人同士に成って一週間経った。


竜司くんは美容師というちょっと特殊な社会人で、土日祝日は基本的に仕事が入っており、休みは平日でしかも店の都合によりアトランダム。


俺は俺で単位をフルに取っているし、実験やらゼミやらで何かと忙しかったりする。


だからこうして竜司くんと会ったのは、あの日以来だったりする。


互いのケータイ番号とアドレスは知っているけれど、竜司くんは仕事で忙しいだろうから連絡するのは忍びないし、そもそも電話やメールはちょっと苦手だったりする。


もし俺が女の子なら「好きな人と一分一秒でも繋がっていたい!」という乙女思考全開で、電話やメールをしまくるんだろうけど、生憎俺は男なのだ。


意味もない何気ない会話をわざわざ電話でするなんて面倒だし、メールもどのタイミングで終わらせればいいのかイマイチわからない。


竜司くんもそういうタイプの人間だったようで、唯一の恋人らしいメールは、竜司くんがいつ『スピカ』のシフトに入るのかという事務的な連絡だけだった。


……これって恋人って言うのだろうか?


多分違う気がする。
< 187 / 281 >

この作品をシェア

pagetop