性別≠不一致
こうなりゃヤケだ。千秋に本物の“男”という生き物をわからせてやる。
勿論マミさんの忠告を無視するつもりはない。そんなことをしようとは思っていない。
だからちょっとだけ、ほんのちょっとだけ千秋にアプローチをかける。
いつもいつも千秋に振り回されっぱなしの俺じゃない。
おそらくそういう免疫がない(ないと信じたい。というか信じる)千秋に、性的アピールをしかけてビックリさせてやるのだ。
俺の告白にさえ動じなかった千秋の、貴重な狼狽するシーンが拝めるかもしれない。
そしてあわよくばそのままいただきますと―――
ってダメだよおい! 最終的な目標が変わってるじゃねえか!
あくまで驚かすだけ。千秋の初な反応を楽しんで、俺の性的欲求を僅かだが満たすだけだ。
手なんか出したら、マミさんに(以下略)
ふへへ。たっぷり可愛がってやるから、覚悟しとけよ千秋くんよぉおおお!
―――とまあ意気揚々と千秋に挑むわけなのだが、この時の俺は千秋の本当の恐ろしさを理解していなかったのである。