性別≠不一致

伸ばされた手は的確に得物を捉え、千秋は俺の眼前にそれをチラつかせる。


「ベッドの下とか典型的すぎるだろ。なになに『アルプスの処女』に、こっちは『風の谷でナニした』か。パロ元に殺されるぞ」


「制作会社に言ってくれ!」


「今はPCでダウンロードの時代なのに、ご丁寧にAVを購入とは、エロ魔人の鑑だね」


「エロ魔人じゃねぇえええ!」


完全に千秋のペースだ。このまま弄り倒されては終わる。エレクトリックパレードが開催してしまう。


もぞもぞと身体を捻ってはみるが、逆に刺激が伝わってしまい逆効果。


くそぅ、せめて千秋の位置が少し上にズレてくれればなんとかなるのに。


「ねえ、竜司くん」


「なんですか!」


「一緒にコレ見よっか」


爽やかな微笑みを俺に送りつけるが、俺には下衆な黒い笑みにしか見えません。
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