性別≠不一致
マミさんが社長出勤する約三十分前。店には千秋がいた。
千秋以外の客はおらず、マスターも丁度出払っていて俺と千秋の二人っきり(スピカは除く)
まだ付き合って数週間。バイト先とはいえ、ちょっくらイチャイチャしたいと思うのは致し方ないと思う。
男はいくつになっても男なのだ。
なのに千秋は、大学で出されたという課題に集中。黙々とペンを走らせ、よくわからん参考書に視線を奪われている。
「なあなあ、なんの課題?」
「うーん、臨床実験に関する考察。簡単にいうと、アメリカと日本のワクチンに関するレポートってことかな」
臨床実験? なにそれ食べれるの?
なんだか凄い実験をして、凄いレポートをやっているんだなということだけは辛うじて理解できた。
獣医になりたいという千秋は、ここ『スピカ』でしょっちゅう課題やらレポートやらをやっている。