性別≠不一致

「これ終わるまで待って」


そう言い残し、再び課題に取り組み千秋を俺は黙って見守ることしか出来ないのである。


なんだよ。キスの一つぐらいいいじゃんか。


実は千秋にされて以来、かなり御無沙汰で俺の我慢も限界に近かった。


だって、好きなんだからキスしたいじゃんか。お互いいい歳なんだし、そんな恥ずかしがるもんじゃねえじゃん。


でも千秋は、なんだかんだ理由をつけてそれを拒む。


ずっと拒否され続けたら、俺が信用できないのかとか、本当は俺のこと好きじゃないんじゃないかとか、嫌な想いが駆け巡ってやるせなくなる。


だから、


「千秋のわからず屋」


好きという想いが爆発してしまった。


「わからず屋?」


「なんでもないですよーだ。千秋大先生はレポートを頑張ってください。なんならコーヒーのお代わりをつけましょうか」
< 230 / 281 >

この作品をシェア

pagetop