性別≠不一致

ケータイを開くとメールのようで、受信ボックスを開いたがメール本文を読み事はしなかった。


黙って閉じるが、どうやら表情に出ていたらしい。


マミさんに「どうしたのよ」と聞かれてしまい、ケータイをポケットにしまいながらどうしたもんかと頭を捻った。


「最近贔屓にしてもらってるお客様なんすけど、どうやら俺に気があるみたいで。しょっちゅう連絡かかってくるんすよねぇ」


「どうしてアドレスなんか教えたのよ。ちーちゃんという恋人がいながら」


マミさんの機嫌が悪くなったようで、声のトーンが若干下がった。


「いや、そん時はまだ千秋とそういう仲になってなかったし……俺って押しに弱いというかなんというか……あはははっ」


笑って誤魔化せるほど、マミさんは簡単な女じゃない。


殺意の波動が籠った、まるで虫でも見る様な冷徹な瞳で俺を見下ろす。


蛇に睨まれた蛙とはまさに俺のこと。マミさんの強烈な殺意の視線に、身体は硬直するしか他ないのだ。


「絶対にないと思うけど、もしちーちゃん以外の女と寝たりしたら……」
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