性別≠不一致
いつものように聞き流して、太一に聞こえないよう小さく溜息をつく。
こいつに告られたって嬉しくない。
何十回という愛の言葉よりも、竜司くんのふにゃっと崩した笑顔には敵わない。
……俺も人のことが言えないな。
喧嘩しても、仲間と飲んでも、太一に告白されたって、竜司くんのことを忘れることなんか出来ない。
重症すぎ。ヤケ酒してやろうかとも思ったけど、多分飲んだところで何も変わらなかったはずだ。
ちゃんと謝ろう。
元はといえば、竜司くんを拒んだ俺に原因があるのだ。
恋人に拒絶されたら、竜司くんだって傷つくし拗ねるのも当たり前だ。
「なあ、もし恋人にキスを拒まれたらどう思う?」
「あ? んだよ急に、俺今死にそうなんだけど」
「太一先生にご教授願いたいだけさ。で、どう思う」