性別≠不一致

世のお姉様方のためにも、今ここで奴の愚息を仕留めた方が良いかもしれない。


いや、仕留めよう。息の根を止めてやる。


いい加減この態勢もキツイし、というかいつまで俺のこと押し倒してんだよ。


このまま膝を使って太一の雄を抉り取ってやろうかと思ったら、


「千秋!」


頭の方から名前を呼ばれた気がした。


太一は顔を上げ、それに釣られるように俺も首を捻って太一の視線の先を見つめる。


そこにいたのは、目が点になっている竜司くんだった。


「なに……してんだよ」


きっと竜司くんの瞳には、見知らぬ男にベンチで組み敷かれている恋人の図が写っているはずだ。


まあ普通は誤解するよな。


俺が襲われているのか、それとも誘っているかの違いだろうけど、謎の男に恋人が奪われそうになっているという構図には違いない。
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