性別≠不一致
太一も何か感づいたのか、一気に顔を青ざめて血の気が引いている。この様子じゃ酔いも覚めたな。
とにかく誤解を解かないと。にしてもいい加減退けよな太一。
「お疲れ。こいつ俺の友人で、今すげぇ酔っぱらってんの」
指を指して事実を告げるが、太一の眉間に深い皺が寄せられる。
あんなに怪訝な表情を浮かべる竜司くんは初めて見た。
チッとこちらまで聞こえる舌打ちをすると、竜司くんは身を翻して歩き出す。
「待って!」
ヤバイ。絶対誤解してる。
きちんと説明すれば絶対わかってくれるのに、俺は竜司くんの後を追うことができない。
「馬鹿野郎! 固まってないで退け!」
元はといえばこいつのせいだ。こいつが酔って俺を押し倒したりするからこんなことに!
堪忍袋がキレた俺は、修羅場を経験して思考が停止している太一の股ぐらに膝蹴りをかましたのだった。