性別≠不一致
それでも鏡に映る自分の姿は、どこか誇らしげに映って見えた。
多分その時からだ。積極的に男の子の格好をするようになったのは。
母の最期の抵抗でもある長い髪も、無理やり言いくるめて短くした。
バッサリ切った時の絶望に満ちた母の表情は、今でも忘れらない。
髪も短くなり兄のお古を着た私は、どこからどう見えても男の子。
男の子に間違われることが多々あったが、私はそれが嬉しかった。
近所の人から「坊や」と呼ばれると、なぜか心がスゥッとしたのだ。
嗚呼、私は男の子なんだ。本当は女の子だけど、他人からすれば私は男の子なんだ。
そう考えると気分が高揚して、高ぶる気持ちを発散するように町内を走りまわった。
そして、小学校五年生のある時。
私は同じクラスの女の子に恋をした。
きっかけはクラスの席替え。くじ引きの結果、初めて彼女と同じ班になった。