性別≠不一致
マミさん
「へぇ、スピカと散歩に」
久しぶりに会ったバイトの先輩であるマミさんに例の出来事を話す。
彼女はマスターの孫であり、現在女子大学院生。
なんかよくわからん学部に所属している。確か日本文学的な感じの学部だった気がするが定かではない。
パッと見は美人だが、如何せん中身は酷いので要注意人物だ。
「よく知りもしない人間と、しかも竜司と二人っきりで散歩だなんて考えられないわ」
ほら、こうして辛辣な言葉をいけしゃあしゃあと言ってのけるのだ。おっかない女である。
「男ってのはな、目と目が合った瞬間から友達(ダチ)なんだよ。マミさんみたいな陰険な女共とは違うんだよ」
「女には玉金袋なんかついてないわよ?」
「“インキン”じゃねーよ“インケン”だよ! ていうか仮にもレディが玉金袋とか言うな!」
「いちいちうるさいわね。ほら、インキン玉袋はちゃっちゃと食器を洗う」
一発ぶん殴ってやろうかと思ったが、マスターが留守にしている今この人が実質リーダー。