性別≠不一致

もしかしたらスピカは、前世は人間でその時の脳みそがそのまま残っているのかも知れない。


というか、スピカの巧みな対人関係の測り方を見るとそうとしか思えない。


きっと前世でも出来る人間だったに違いないな。羨ましい限りである。


そういえば動物は心の清らかな人間を見分けられるというが、スピカに心の底から懐かれたということは千秋の心はとんでもなく清らかなのだろう。


今じゃ店の常連さんに成りかけている千秋だが、マミさんと会うのは今日が初めてだ。


マミさんが一週間もシフトに入らなかったのは、大学院の教授に連れられて京都に行っていたから。


学会の発表の手伝いらしいが、要は扱いやすい雑用係。


それでも時間を作って京都観光を行い、先ほどお土産の生八橋を貰ったばかりだ。


千秋とマミさんのファーストコンタクト。


カウンターに座っていたからか、千秋はマミさんを客と思い込んだらしい。


スピカの頭を撫でながら軽く会釈をすると、マミさんは音もなく立ち上がり千秋に近づく。