性別≠不一致

顔は青ざめて視線は一点に定まらずキョロキョロしている。


「このまま一生閉じ込められる……なんてことはないよな?」


「それはないだろ。安全装置が働いただけだから、時間が経てば大丈夫だと思うけど」


「けど、もし安全装置が解除されなかったら?」


「その時は異変に気付いた係の人が動かしてくれるって。竜司くんってほんとヘタレだなぁ」


思わず笑ってしまったが、それでも竜司くんの顔色は優れない。


薄暗く狭い空間に二人っきりという状況。


不安になるのはわかるけど、この怯え方は普通じゃない。


まさか―――


「もしかして竜司くん、閉所恐怖症?」


「あっ……うぅ……」


「そうなんだ」
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