性別≠不一致

俺ってSだったのかと改めて実感。特にそんな趣味はないはずなんだけど。


竜司くんの掌から伝わって来る熱は冷んやりとしていて、俺の熱と相対して心地の良い温度になる。


心が温かいのは竜司くんの方だ。


男にしては華奢すぎる俺のことを、男らしいと真っ直ぐに言ってくれる。


お世辞立ってのはわかってるけど、今までそんなこと一度も言われたことがなかったし、凄く単純な俺はそれだけで一喜一憂してしまうのだ。


エレベーターが動き出す。


それでも俺達は手を繋いだままで、扉が開いてから慌てて離したのだった。
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