この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
生い茂る草木を足に感じながらただただ必死で木々の中を進む。
街の中とは違い緑地公園の中は夜になると本当に闇のようだった。
今夜のように月が雲に隠れているとなおさらで。
左右だけじゃなく上も下もわからない感覚に陥る。
ただがむしゃらに足を進めた。
たまに見えるチカチカと消えそうな光と俺を呼ぶ美代の声。
それだけを頼りに
ようやく美代らしき小さな人影を見付けた。
「美代!!」
俺は何も考えずに叫んでいた。
小さな人影と懐中電灯の灯りがこちらを向く。
「馬鹿!こんな真っ暗な時間に何してんだよ…っ」
「えっ…?」
―――――その時
ざあぁ……っと強い風がふき、生い茂る木々の葉が大きく揺れた。
雲に隠れていた月が顔を出す。
真っ暗闇の中で月明かりに照らされた美代。
その顔は涙でぐちゃぐちゃになって俺を見上げていた。
「っ……」
いつも見上げてばかりいた美代
そんな美代を初めて上から見下ろして
泣き濡れた美代を前に俺は言葉をなくしてしまった。
そんな俺に懐中電灯を当てながら
美代は戸惑った顔で弱々しく言った。
「あ…の。白いうさぎを探していて…今日行方不明になっちゃったんですけど…きっとここに来ると思って…」
街の中とは違い緑地公園の中は夜になると本当に闇のようだった。
今夜のように月が雲に隠れているとなおさらで。
左右だけじゃなく上も下もわからない感覚に陥る。
ただがむしゃらに足を進めた。
たまに見えるチカチカと消えそうな光と俺を呼ぶ美代の声。
それだけを頼りに
ようやく美代らしき小さな人影を見付けた。
「美代!!」
俺は何も考えずに叫んでいた。
小さな人影と懐中電灯の灯りがこちらを向く。
「馬鹿!こんな真っ暗な時間に何してんだよ…っ」
「えっ…?」
―――――その時
ざあぁ……っと強い風がふき、生い茂る木々の葉が大きく揺れた。
雲に隠れていた月が顔を出す。
真っ暗闇の中で月明かりに照らされた美代。
その顔は涙でぐちゃぐちゃになって俺を見上げていた。
「っ……」
いつも見上げてばかりいた美代
そんな美代を初めて上から見下ろして
泣き濡れた美代を前に俺は言葉をなくしてしまった。
そんな俺に懐中電灯を当てながら
美代は戸惑った顔で弱々しく言った。
「あ…の。白いうさぎを探していて…今日行方不明になっちゃったんですけど…きっとここに来ると思って…」