この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ん~………」


すっかり日も暮れた頃、美代がようやくムクリと起きた。



「…なんかお腹すいたぁ」


美代はモソモソと歩きだすと、まだ綺麗なキッチンで食べ物を作り出した。


買い出しすら行ってないのに、一体何を作るというのか。




15分後――…



シュシューと土鍋から米の炊けるいい匂いがしてきた。


この香りは…伸太郎が作っている米だろうか?


人里離れたド田舎で、伸太郎は自給自足に近い生活をしている。


その米を伸太郎が引っ越しの荷物と一緒に送ってくれたのだろう。


美代は白い泡のこぼれた鍋を机に置くとやわらかく輝く白米を茶碗によそった。



「いただきまぁす」


美代は丁寧に手を合わせてからご飯を食べ出した。


< 11 / 513 >

この作品をシェア

pagetop