この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『お、おい…俺にもくれ』


「むしゃむしゃ…美味しい」



俺の言葉が通じない美代。



ちっ…

腹がすいた俺は強引に美代の膝に乗ると机に前足を乗り出した。



「ひゃん、マサルさん危ないよぉ」


びっくりした美代は、美代のくせになかなか色っぽい声を出しやがる。


俺は前足を机上で伸ばして茶碗を触った。



『これだよ!コレ』


「ん?マサルさんもお米が食べたいの?」


美代は指先で茶碗の米をすくった。


「あちっ…」


小さく呟いた美代は米粒をふぅふぅしてから俺に指先を向けた。



「はい。炊きたては熱いから気をつけるんだよ~」


俺はその指先を優しく噛んだ。


『あ~うめぇ…』


空腹に白米の甘味が染み渡った。


やっぱ日本に産まれたからには米だろ米。


その味は予想通り、炊きたての伸太郎のコシヒカリだった。



『おい美代。俺の好きなのはニンジンなんかじゃなく米なんだ。覚えとけよ』


美代は嬉しそうに何度もふぅふぅして俺に米をくれた。


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