この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
シャ――ー…



白い湯気が立ち込める浴室。





体を洗い終え、俺は洗面器に美代はバスタブにつかった。


疲れ果てた俺は半ば放心状態だった。


白うさぎの俺から見ても真っ白な美代の体。


最期に美代と風呂に入ったのは美代がまだ中学の頃だっけ…?


その頃は俺も拾われてすぐで子ウサギだった。


それ以降は常に親父としか風呂に入っていなかった俺。




美代は……

一体いつの間にこんなに成長したんだ。




長い髪を洗う時のうなじの白さ。


その白い肌が徐々に淡い桃色に染まる。




「マサルさん、気持ちいい?」


『………』



美代の声が浴室にエコーする。



「そういうば今日、床が濡れてたんだけどマサルさんの仕業?」


『…………』



お前が寝るから俺が掃除したんだ。


と、言い返したいがそれを言い返す元気ももう残っていない。




パシャ…と水音を立てて美代が浴槽から出た。


「♪~」


俺はそんな美代をただただ眺める。


白い腕が伸びて美代はまた俺を抱きかかえた。



明日からも…

一緒に二人で風呂に入るんだろうか。


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