この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「美代は?」


「私はあずきと抹茶で雪だるまにする」


「は?雪だるま??」


「かしこまりました♪」


首を傾げる俺に対して、

店員は美代の言葉の意味を理解したらしく注文を受け付けた。


「あ、マサルさん。お会計するから…手を離してくれる?」


「――え?」


美代の言葉に俺が手をみると、俺は美代の手を握ったままだった。


「あっ…悪い」


俺は慌てて手を離す。


そして美代を見ると、美代は少し赤い顔をしていた。


目が合うと小さく笑う美代。


「あ~お腹すいたね///」


美代は視線を反らすと俯きながらリュックから財布を取り出した。


俯いた横顔からは、揺れる睫毛と唇しか見えない。


だけど美代の白い耳がほのかに赤く染まっていた。


そんな美代の全てに


俺の胸はまた、きゅん…と苦しくなったのだった。



< 143 / 513 >

この作品をシェア

pagetop