この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
しかし


俺のそんな心配をよそに、俺が美代の顔を覗きこむと


怒っていると思っていた美代は、うつむいたまま必死に笑いを堪えていた。


…美代?


「あの…美代?」


俺は戸惑いながら美代に声をかけた。


小刻みに震えて笑う美代。


「ぷくく…ごめ…だってマサルさん、あり得ない事が多すぎるんだも…」


美代はそこまで言うと、また笑いを堪えて涙をぬぐった。


「美代…」


美代が笑っていて少し気がぬける俺。


しばらく笑うと美代はようやく顔を上げた。


「はぁ、笑ったぁ~マサルさんといると本当に面白い」


「そ…そうか?」


「うん。なんかずっと前から、知り合いみたいな気がするし」


美代にそう言われて少しドキリとする。


そんな俺に、美代は笑いながらふと寂しそうな顔をした。


「うさぎのマサルさんも…今頃どこかのおばあちゃんと楽しくやってるかな」


美代はそう言うとくるりと俺に背を向けた。


「マサルさん…結構強がりだけど神経質なところあるんだ。寂しがってないかな…」


< 149 / 513 >

この作品をシェア

pagetop