この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
すると


「お…おい!!」


さっそく美代がやらかした。


「美代!味噌汁が沸騰してるぞ!」


「へ?」


俺はのんきに沸騰した鍋を見つめる美代を遮り


慌ててグツグツと煮たっている味噌汁の火を止めた。


「え、まだネギ入れてな」


「ネギ?!そんなの食う直前で良いだろ。これじゃ味噌の風味もダシの風味も飛んじまう」


「で、でも具に火を通さなきゃ…」


「豆腐だけだろ?豆腐なんて温めるだけで十分だ」


だいたい何で豆腐が味噌よりも先に投入されてんだ。


豆腐は色が変わらないように、味噌を入れ終えたラストに入れんだよ。


「ご…ごめんなさい」


美代は俺の手元を見てしょんぼりした。


「綺麗なサラダ…マサルさん、本当に料理できたんだね…」


俺の手元には今盛り付けたオードブルの皿があった。


伸太郎が酒やワインのあてによく作っていたものだ。


「伸太郎の娘なのに美代は掃除も料理も下手だな」


「むぅ」


俺の言葉に唇を尖らせる美代。


そんな美代の頭を俺は軽く小突いた。


「俺が全部教えてやるよ。とりあえずさっさと運んで食おう」


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