この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
夕食を食べ終わると、俺と美代は買ってきたものの片付けを始めた。


美代が買ってくれた俺の洋服類はまとめて空いた箱に収納する。


美代は商品タグをハサミで切り取りながら


ふと手を止めて赤いビキニを見つめた。


「どうした美代?」


俺は服を箱に詰めながらそんな美代を見る。


「ん~。せっかく買ったんだし使わなきゃ勿体ないなぁと思って…」


そう言いながら美代はぴらぴらとビキニを広げた。


朱色にも似た鮮やかな赤いビキニ。


小さな三角の胸元には大きめなフリルがあしらわれていた。


赤い色は美代の白い肌にはえそうだけど…


美代のイメージからはやっぱりデザインが派手すぎる。


「マサルさん、海でも行かない?」


美代は俺を見た。


「別に良いけど…美代、それ着れるのか?」


俺の言葉に美代は首をかしげる。


「着れるのかって…ビキニを?」


「そうだ。美代そんなの着たことないだろ?」


俺の知っている美代は、こんな腹の出るやつじゃなくて


いつも学校指定の紺色のスクール水着とやらを着ていたから。


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