この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
しかし美代はそんな俺の幼いイメージを覆す。


「やだなぁマサルさん。私もビキニくらい着るよ~?」


「え?」


「確かに赤色は初めてだから、ちょっと抵抗あるけど」


そう言って、姿見の前で立つと服の上からビキニを当てて鏡を眺める美代。


そんな姿がやけに色っぽくて、俺は少しドキッとした。


思わずこの赤いビキニを着た美代を想像してしまう。


美代は…いつの間にこんなに大人になったんだ。


人間になる前、美代と一緒に風呂に入った俺は美代のその成長ぶりに戸惑ったが。


最近ようやく風呂での美代の裸を見慣れたのに


赤いビキニを着た美代の姿は、また俺を困惑させた。


「よし!明日はとりあえずサークルだけど今週中に海に行こう」


「…………」


こうして俺の人生初の海が決定した。




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