この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
―――ん?
声に反応して俺がベランダを見ると、そこには銀とボスがいた。
『ボスがマサル氏心配してるっポよ』
白鳩の銀がベランダのアイアンの柵の上でそう言った。
『別に心配はしてニャ~けどよ…』
俺は雑巾をおくと、ベランダに向かった。
ちなみに
ベランダは換気の為に元から網戸になっている。
俺は網戸をカラカラと開けるとそのままベランダと部屋の境界線に腰を落とした。
そしてしゃがんだ姿勢のまま、ボスを見た。
『お前マジでマサル坊ニャ?』
ボスは俺のまん前で
細い目を丸くして口を半開きにして俺を見上げる。
「あぁ、そうだよ。てかボスってこんなに小さかったんだな」
俺は腕を伸ばすとボスの背中を軽く撫でてみた。
湾曲した背骨のなめらかな感触が、生暖かく手のひらを伝う。