この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『なんだマサル坊おめぇ、人間の体になって心まで人間に染まったニャ??』


ボスはジロリと俺を見る。


「なに言ってんだよ、俺は俺のまんまだ」


俺はボスの言葉を否定した。


だけど

人間として社会で生きていくには例え1ヶ月間だとしてもお金が必要だった。


人間は何をするにも、何かしらいちいち現金が必要なのだ。


俺は昨日1日でそれを身に染みて感じていた。


これ以上、美代にばかり頼ってはいられない。


その為には一刻も早く稼がなければいけない。


人間というのは手先が器用に動いて生きやすいが


同時に生きにくい生物だとも思う。



『それなら良いがニャ。あまり染まるニャよ?俺は人間はあまり好きじゃニャ~よ』


「?なんだよそれ」


俺が突っ込むとボスはフンと鼻を鳴らした。





それから俺たちは美代が帰ってくる直前まで


以前のようにベランダで世間話を繰り広げた。



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