この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

外の世界

カンカンッ

俺はベランダにでるとアイアンの柵を前足で鳴らした。


だいたいこうすると白鳩の銀が来てくれる。


銀は毎日この地域を飛び回っているらしく

この1ヶ月の間に俺と銀は毎日世間話をする程度の間柄になっていた。


早速バサバサと銀が飛んできた


『なんやポ?マサル氏お出かけか?』


『あぁ、悪いがこれを頼む』


『クルック―』


銀は俺から赤い布の弁当箱を受け取るとくちばしでそれを加えた。


身軽になった俺はベランダの柵の間から地面に飛び降りた。


1階なので大したダメージは無い。


俺が銀から弁当箱を受け取ろうとすると

銀はしばらく自分が運んでやると言ってくれた。


『マサル氏これ持ってじゃ歩きにくそうだポ』


『あぁ、助かるよ。』



こうして俺と銀は一緒に大学へ向かって出発した。


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