この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「メイがサークルに来るなんて珍しいね」


嬉しそうな美代の声にメイと呼ばれた美少女は、無表情のまま抑揚なく答える。


「…タロットで。ここに来るよう教示があったから」


そしてメイは美代の後ろにいる俺をじっと見た。


…な、なんだよ？


心の裏側までも覗き込まれそうな大きな瞳に見つめられ


俺は思わず一歩下がった。


「あっ、彼は私の従兄のマサルさんだよ。」


「…どうも」


美代から紹介を受け、俺はメイから離れた位置のまま軽く会釈した。


メイは無表情のまま、そんな俺をガン見し続けている。


な…なんなんだよ…

ちょっと怖いし


「あの…俺になんか付いてんのか？」


俺はたまりかねて聞いてみた。


メイは俺から視線を離すことなくゆっくりと赤い唇を動かした。


「はい…憑いてますよ」


そう言って


今日初めてその口元が妖艶に小さくゆるんだ。


「ふふ。私…今日はあなたに逢う為にここに来たみたいです」