この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
紙皿に入れた肉を食べだす者や水着に着替えて海に繰り出す者。


そんな大学生の夏休みの開放的な雰囲気に


俺は半ば少し圧倒されつつ


ふと隣から消えていた美代を探すと


美代はブルーシートの荷物をまとめて置いてある場所で


着ていたワンピースを上から脱いでいる所だった。


恥じらいもなくまくし上げられたワンピースの下から


白く滑らかな肌と鮮やかな赤いビキニが露になる。


ワンピースが脱ぎ捨てられると美代の長い髪がパサッと揺れた。


「…………」


まるで


スローモーションを見ていたかのように


俺はその姿に釘付けになってしまう。


赤いビキニの美代は、白い砂浜に反射する光の中まぶしく輝いていた。








「す…げぇ…」


そんな蚊のなくような声が隣から聞こえた。


……ん?


俺が顔を横にやると


俺の隣でヒゲ男もまた美代に釘付けになっていた。



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