この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『それはますます驚きっポ…ちなみに彼はボスという名っポ』


銀は驚きながら猫を紹介した。


『まさかあんたが銀さんと知り合いニャったとはな』


『あんたじゃなくてマサルだ』


俺とボスの間に小さな火花が飛ぶ。


『いけすかないマサル坊ニャ、あんま調子乗ってんじゃニャ~よ』


『なんだとテメ~…』


『マサル氏やめるっポ!ボスもやめるっポ!』


銀の言葉にボスは爪を剥き出しにした前足を引っ込めた。


『…………』


正直、猫とうさぎじゃ勝ち目はなかったので助かった訳だが

俺はまだ納得いかずにイライラしていた。


喧嘩を売られる理由はねぇ…!


『っち…銀もう行くぞ』


『クルック~』


俺はボスの横を睨みながら通り抜けた。


ニャ~


軽く挑発するような野太いボスの声が後ろから何度も聞こえた。




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