この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
――秋の夕暮れ






人里離れたとある公園。




その隅に小さく震える一匹の白い子うさぎがいた。



捨てられたのだろうか…



灰色の雲からは今にも雨が落ちそうだった。






「あれ…?」


ひとりの少女が公園を通りかかった。


子うさぎと目が合うと、少女は足を止めた。




「お前、お母さんは?」


『ムー……』


「…お前もうちに来る?」


『ムー……』


「大丈夫。怖くないよ」




少女は子うさぎを優しく抱き上げると微笑んだ。






のちに、この出逢いが二人の運命を大きく変えることになるとも知らずに―――…







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―――…


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