この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
――――――…


どのくらい進んだのか。


美代と一緒に来た時にはせいぜい20分程度の道のりが


うさぎの俺だと意外にも遠かったらしい。


いつも美代の鞄の中から見ていた景色も視線が低い今となってはなんだか違って見える。


はっきり言って少し不安になっている俺。


そんな時に追い討ちをかけるように銀が言った。


『マサル氏、申し訳ないんやがそろそろ僕は時間だポ』


何か用事があるらしい銀は申し訳ない様子で俺に弁当箱を返した。


『いや…俺こそ悪かったよ。助かった。』


俺は銀にねぎらいの笑顔を向けた。


『マサル氏1人で運んでいけルックル~?』


『あぁ、あと少しだから大丈夫だ』


『クルック…ほな頑張ってポ』


銀はまだ心配しているようだったがバサバサと空へ飛んでいった。


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