この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「すごく繁盛してるもんね?…マサルさん、大丈夫?」


ひとり忙しく働く俺をみて、美代は心配そうな声をだしてくれた。




「なに?マサル一人で働いてんの?この金髪のオーナーさんは?」


夏美は山吹と俺を交互にみる。


メイは相変わらず冷めた目で、ぼんやりと立っている。


山吹はそんな夏美とメイに向かってにっこりと笑った。


「どうもおおきに、山吹言います。僕はオーナーとちゃいまっせ」


「は?でも店員でしょ?なんで働いてないの?」


山吹に怯むことなく仁王立ちで腰に手を当てる夏美。


「いやぁ、実はあんまり体が強うなくてね…」


そう言うと山吹はゴホゴホと咳をした。


わざとらし過ぎだろ…。


もうこの際どうでもいいけど。


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