この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「山吹…かき氷とポップコーン出来たから頼む!」


山吹の寸劇を遮るように


俺は肩で汗をぬぐいながら声を張り上げた。


「ん?お~、へいへい」


俺の声に、軽い返事をかました山吹はようやくウェイターに戻った。










「マサルさん、手伝うよ」


美代たちはこっそりと店内に入ってきた。


「いや、一応調理は衛生面で検査がいるらしいから…」


そう言いながら俺は美代をちらりと見る。


美代はちゃんと俺のTシャツをまだ着てくれていた。


「じゃあ洗い物やるね!」


「え?でも汚いし大変だから」


ひたすら調理におわれて洗い物はまだほとんどしていない。


シンクは汚い調理器具で山積みになっていた。


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