この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
―――――――
――――…


どのくらい寝ていたのだろう。


ひんやりした気温で目が覚めると辺りはもう夕暮れになっていた。


寒さにぶるると毛並みを揺らす


喉は相変わらずカラカラだし腹も空いた。


とりあえず帰らなければ…。


『っ……!』

歩こうとすると肉きゅうがズキッと痛んだ。


歩く事をやめて一瞬、躊躇する俺。


『…………』


しかし考えたところで俺が歩くしか帰る方法はない。


俺はためいきをつくと、弁当箱をくわえ無理やり足を動かした。


ズキン…ズキン…


帰り道だけでも分かれば良いのに…


『くそったれ…』


俺は今どこを歩いてるんだ。






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