この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
マサルの異変
「マサルさん、どうしたの?」
ぼーっとしていたのか美代に顔を覗き込まれた。
「え…?」
「もう家だよぉ?大丈夫?疲れた?」
気付くと俺と美代は家の前まで着いていた。
よほど疲れているのか電車に乗った記憶すら飛んでいる。
「あ…あぁ、大丈夫。」
「ほんと…?今日はゆっくり休もっか」
美代は家の鍵をガチャガチャと回した。
そしてドアノブに手を掛けた時美代は思い出したように叫んだ。
「あ!そう言えば夕飯なにもないや…!途中コンビニで買えば良かった」
「あぁ、それなら俺が行ってくるよ」
コンビニでの買い物は一度美代と行ったから、一人で出来るはずだ。
「え?いいよ!マサルさん疲れてるでしょ?私が行く」
美代はそう言うが、空はもう真っ暗になっていた。
それに美代だって疲れたはず。