この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「あれ…?マサルさんの服とコンビニの袋…なんでこんなところに?」



美代は俺を抱き締めたまま、散乱した衣服とおにぎりを広い集めた。


「とりあえず、おうちに入ろうね。」


美代は俺の鼻に優しくキスをすると、俺をつれて部屋に戻っていった。










「マサルさん…お腹すいてない?」


部屋に入ると美代は俺に水とおにぎりを与えてくれた。


そして俺を膝に乗せたまま優しく体をブラッシングしてくれた。


美代にこんな風に触れてもらうのは久しぶりだ。


突然の状況に不安を感じつつも心地よくて思わず俺も目を閉じて美代に寄り添った。


「新しい飼い主さんのところから会いにきてくれたの?」


美代はブラッシングの手を休めることなく聞く。


『そうか…美代にはどこかの婆さんに拾われたと伝えてあるもんな』


「マサルさんがいなくて寂しかったよ…」


『美代…』


俺は美代のお腹に寄り添ったまま顔だけで美代を見上げた。


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