この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「マサルさんがいない間に新しい友達も出来たんだよ」


美代はふふふっと笑った。


「マサルさんと同じ名前でね、ちょっと亭主関白なんだけど優しいの」


『それは良かったな』


というか、それは俺なんだが。


「それにね、彼ちょっと抜けてるところがあるの」


美代はブラッシングの手を止めると時計を見た。


「それにしてもマサルさん…遅いなぁ。服脱いでどこ歩いてるんだろう」


美代は心配そうな顔をしてそう言った。


『…………』


まぁ…


状況からしてそう思われても仕方ないんだが…


俺の事を“服を脱いで平気で出歩くような奴”だと思われているのは少し心外だった。


人間の俺はそんなに抜けてる奴に見えるんだろうか。




「とりあえず、もう遅いからマサルさん待ってる間にお風呂済ませようか」


美代は俺を抱き上げると風呂場に向かった。


< 249 / 513 >

この作品をシェア

pagetop