この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
鋭いくちばしで肉をつつかれ、尻に強烈な痛みが走る。


ッ…!!!

いてぇッ…!

半端じゃねぇ…


だけど避ける体力も逃げる体力ももうなかった。


『コイツ弁当も持ってるカァ』


さらに違うカラスが俺から美代の弁当箱を奪った。


『……!!』


くちばしで乱暴に赤い布をあけようとするカラス。


俺は痛む足も忘れてそのカラスに突っ込んで行った。


『カァ?!なにすんだカァ!』


怒るカラスにまたくちばしでつつかれる。


『カァカァ!!』


『…ああッ…!!!』


全身に鋭い痛みが走り俺は叫んでいた。


『弁当もよこすだカァ!』


激しいカラスの攻撃から俺は弁当箱を守るように丸くなった。


なんでこんなに弁当箱を守りたいのかはよく分かんねぇ…


だけど薄れゆく意識の中で、美代の優しい笑顔が浮かんだ。






美代…



ごめん美代









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