この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
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――――…


ユサ…ユサ…ユサ…


一定の心地よいリズムに、俺はぼんやり目を開けた。


『ッ……』


ゆらぐ意識の中で体中にズキズキと痛みが走る。



『やっと目ぇさましたかニャ』


聞き覚えのある野太い声に意識が徐々にハッキリした。


『お前……ボス…』


俺はいつの間にかゆっくりと歩くボスの背中にぐったりと乗せられていた。


『っ……』


『まぁ大人しく運ばれとけニャ』


慌て背中から降りようとした俺をボスは制止した。


振り向いたボスの口には破れた赤い布に包まれた弁当箱がくわえられている。


『ボス……なんで?』


俺は…どうなったんだ?


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