この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
バシッ!
真剣にそう言うヒゲ男に向かって夏美が手をあげた。
「あんたマジ最低」
「いてッ…だって、本当のことじゃんよ。俺だけじゃなく誰でもそう思うって…」
夏美の攻撃を避けながら力説するヒゲ男。
「はは、なんでお前がそこまで興奮してんだよ」
俺は弥彦も生け簀に戻しながら苦笑いした。
「だってマサルお前…!その力の凄さを理解してねぇの?」
そしてヒゲ男がさらに力説しようとした時
ふいに俺の前に責任者がやって来た。
「はっはっは、マサル君、君の友人が言う通りだよ。君は何もわかっていない」
責任者はそう笑いながら、一枚の小さな紙を俺に差し出した。
白い紙には小さく何か文字が書いてあるが、俺には意味がわからない。
「…………?」
俺が躊躇していると
責任者はその紙を俺の手に握らせた。
「私の名刺だ。受け取りたまえ」
「め、めいし…?」
責任者は頷いた。
「俺には君をビックにする力がある」