この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「………?」


「君はビジュアルも良い。加えてその能力。考えただけで鳥肌が立つよ」


責任者はヒゲ男以上に興奮した口調で語ると、ふと真面目な顔で俺を見た。


な…なんだ…?



「君の可能性を私に託してみないか?」


「……可能性?」


「そうだ。君の可能性を私にプロデュースさせて欲しい」


「………は?」


責任者の言葉に俺が首を傾げると、夏美が横から口を出してきた。


「あんたねぇ…つまりスカウトってことじゃん」


「?スカウト?」


「そうよ。このオッサンはあんたを買いにきてるわけ!」


「はぁ?俺を買う?」


「そう!も~マサルって本当に天然バカね!なんで分かんないのよ」


「な……!?」


俺は夏美の物言いにカチンときた。


そんな俺たちを見て責任者は豪快に笑う。


「はっはっは、お嬢さんの言う通りだ。ストレートに言うと私は君の未来を買い取りたい訳だ」


責任者はニタリと笑った。


「どうだ?君になら契約金もうんと積むぞ」


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