この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
帰省
――――翌朝
あれから、あまり眠れなかった俺は夜明けと共に寝室を抜け出した。
寝室は…
美代の寝息がやたらと耳について体がもたん。
しかも寝相の悪い美代は平気で俺に素足を向けてくる。
人間になってから毎晩美代の隣で寝ていたのに
なぜ今さら美代の隣で寝れなくなるのか…
俺はリビングに座り込むと
ふぅ―――…と深く息をはいて頭をかいた。
……こんな時は料理に限る。
俺は邪念を追い払うべく、早速キッチンへと向かった。
トントントン
静かなキッチンにまな板と包丁の音が響く。
鍋からは味噌汁の匂い。
白米を炊いた土鍋からは白い泡がこぼれていた。
これにメインの納豆と副菜を添えれば完璧な朝食だ。
やはり料理はいい。
人間になって数日にして、料理はもはや俺の得意分野になっていた。
無心で料理をすることで、邪念が拭われる。